「根管治療が終わったけど、次はどうすればいいの?」「被せ物にはどんな種類があるの?」このような疑問をお持ちの方は少なくありません。根管治療後の歯は、適切な被せ物で保護する必要があります。しかし、素材の選択肢が多く、迷ってしまう方も多いでしょう。
根管治療後の歯は、神経を失っているため、もろくなっています。そのため、適切な土台(コア)と被せ物(クラウン)で補強することが重要です。選択する素材により、強度や審美性、耐久性が大きく異なります。
本記事では、根管治療後の土台と被せ物の選択肢を詳しく解説します。特に、ファイバーコア、ゴールドクラウン、オールセラミックに焦点を当ててご紹介します。正しい知識を身につけることで、ご自身に最適な選択ができるようになるでしょう。
目次
- 根管治療後の歯に被せ物が必要な理由
- 土台(コア)の種類と特徴
- 被せ物(クラウン)の種類と特徴
- 最適な組み合わせの選び方
- よくあるご質問
- まとめ
1. 根管治療後の歯に被せ物が必要な理由

神経を失った歯の特徴
根管治療では、歯の神経(歯髄)を取り除きます。その結果、歯にいくつかの変化が起こります。
まず、栄養供給が断たれます。例えば、水道管を止めた植物のように、歯は内部から水分を失っていきます。そのため、歯質がもろくなり、割れやすくなります。
また、痛みを感じなくなります。これは一見メリットのように思えます。しかし、問題が起きても気づきにくくなるというデメリットもあります。
さらに、時間とともに変色することがあります。神経を失った歯は、徐々に黒ずんでいく傾向があります。
被せ物が必要な理由
根管治療後の歯に被せ物が必要な理由は、主に3つあります。
歯の破折を防ぐ まず、最も重要なのは、歯の破折を防ぐことです。神経を失った歯は、通常の歯の約10分の1の強度しかありません。そのため、硬い物を噛んだときに、縦に割れてしまうことがあります。一度縦に割れると、多くの場合抜歯が必要になります。
機能の回復 次に、噛む機能を回復させることです。根管治療では、虫歯部分や感染した組織を除去します。その結果、歯質が大きく失われます。被せ物により、本来の形態を回復し、しっかり噛めるようにします。
審美性の改善 さらに、見た目を改善することです。特に、前歯の場合は審美性が重要です。被せ物により、自然な色や形を再現できます。
土台と被せ物の役割
根管治療後の歯の修復は、通常2段階で行われます。
土台(コア) まず、歯の内部に土台を立てます。これは、建物の基礎のような役割です。土台により、被せ物を支える強度を確保します。
被せ物(クラウン) その後、土台の上に被せ物を装着します。これは、建物の外壁のような役割です。被せ物により、歯を保護し、機能と審美性を回復します。
この2つの組み合わせにより、根管治療後の歯を長期間保存できます。
2. 土台(コア)の種類と特徴

土台には、主に3つの種類があります。それぞれに特徴があります。
メタルコア(金属の土台)
メタルコアは、金属で作られた土台です。従来から使用されている方法です。
メリット まず、強度が非常に高いです。また、保険適用のため経済的です。さらに、長年の実績があり、信頼性が高いです。
デメリット 一方で、いくつかの問題があります。まず、硬すぎるため、歯根が割れるリスクがあります。例えば、コンクリートに鉄の杭を打ち込むと、コンクリートにひびが入ることがあります。メタルコアも同様です。
また、金属が透けて見えることがあります。特に、前歯にセラミックの被せ物をする場合、歯茎が黒く見えることがあります。
さらに、金属アレルギーのリスクもあります。また、歯茎が黒ずむ(メタルタトゥー)こともあります。
ファイバーコア(グラスファイバーの土台)
ファイバーコアは、グラスファイバーとレジン(プラスチック)で作られた土台です。比較的新しい材料です。
メリット まず、最大の利点は、歯に近い弾性があることです。そのため、歯根が割れるリスクが大幅に減少します。例えば、竹のようにしなる性質があります。そのため、力を適度に分散できます。
また、白い素材のため、審美性に優れています。特に、前歯にセラミックの被せ物をする場合に最適です。透明感のある自然な仕上がりになります。
さらに、金属アレルギーの心配がありません。また、歯茎の変色も起こりません。
加えて、除去が容易です。万が一、再治療が必要になった場合でも、比較的簡単に除去できます。
デメリット 一方で、自費治療となります。そのため、メタルコアより費用がかかります。
また、メタルコアと比べると、やや強度が劣ります。ただし、通常の使用では問題ありません。
レジンコア(プラスチックの土台)
レジンコアは、プラスチック素材で作られた土台です。保険適用で使用できます。
メリット 保険適用のため経済的です。また、白い素材のため、メタルコアよりは審美性に優れています。
デメリット 強度が低いです。そのため、大きく歯質が失われている場合には適しません。また、吸水性があるため、変色することがあります。
3. 被せ物(クラウン)の種類と特徴

被せ物にも、様々な種類があります。ここでは、代表的な3つをご紹介します。
ゴールドクラウン(金の被せ物)
ゴールドクラウンは、金合金で作られた被せ物です。古くから使用されている信頼性の高い方法です。
メリット まず、適合性が非常に優れています。金は加工しやすく、歯との適合が良好です。そのため、虫歯の再発リスクが低くなります。
また、金は適度な硬さがあります。そのため、噛み合う相手の歯を傷つけません。さらに、摩耗しにくく、長期間使用できます。実際、20年以上使用できることも珍しくありません。
加えて、金属の中では生体親和性が高いです。そのため、金属アレルギーのリスクが比較的低いです。
さらに、強度が高いため、薄く作れます。その結果、歯を削る量を最小限に抑えられます。
デメリット 一方で、最大の問題は見た目です。金色が目立つため、特に前歯には適しません。ただし、奥歯であれば、それほど目立ちません。
また、自費治療となります。そのため、費用は高額になります。
メタルボンド(金属の上にセラミックを焼き付けた被せ物)
メタルボンドは、金属の土台の上に、セラミックを焼き付けた被せ物です。
メリット まず、金属の強度とセラミックの審美性を兼ね備えています。そのため、前歯から奥歯まで幅広く使用できます。
また、長年の実績があり、信頼性が高いです。適切なケアにより、10年以上使用できることが一般的です。
デメリット 一方で、金属を使用しているため、いくつかの問題があります。まず、オールセラミックと比べると、透明感に劣ります。また、歯茎が黒ずむことがあります。さらに、金属アレルギーのリスクもあります。
また、自費治療となります。
オールセラミック(全てセラミックの被せ物)
オールセラミックは、金属を使用せず、全てセラミックで作られた被せ物です。
メリット まず、審美性が最も優れています。天然歯と見分けがつかないほど自然な色調を再現できます。また、透明感があり、光の透過性も天然歯に近いです。
さらに、変色しません。長期間使用しても、白さを保てます。
加えて、金属を使用していません。そのため、金属アレルギーの心配がありません。また、歯茎の変色も起こりません。
また、表面が滑らかです。そのため、プラークがつきにくく、清潔を保ちやすいです。
デメリット 一方で、強い力がかかると割れる可能性があります。ただし、最近のジルコニアを使用したオールセラミックは、非常に強度が高くなっています。
また、自費治療となります。
ジルコニアクラウン(ジルコニアの被せ物)
ジルコニアクラウンは、ジルコニアというセラミック素材で作られた被せ物です。
メリット まず、セラミックの中で最も強度が高いです。そのため、奥歯にも安心して使用できます。また、金属アレルギーの心配もありません。
従来のジルコニアは透明感に欠けましたが、最近では審美性の高いジルコニアも開発されています。
デメリット 自費治療となります。また、従来のジルコニアは、やや不自然に白く見えることがありました。ただし、最新のジルコニアは改善されています。
4. 最適な組み合わせの選び方

土台と被せ物の組み合わせは、いくつかのパターンがあります。最適な選択は、以下の要素により決まります。
治療部位で選ぶ
前歯の場合 前歯は審美性が最も重要です。そのため、以下の組み合わせがお勧めです。
土台:ファイバーコア 被せ物:オールセラミックまたはジルコニア
この組み合わせにより、透明感のある自然な仕上がりが得られます。また、歯茎の変色も防げます。
奥歯の場合 奥歯は強度が重要です。また、噛む力が強くかかります。そのため、以下の組み合わせが選択肢となります。
審美性を重視する場合: 土台:ファイバーコア 被せ物:ジルコニア
強度と耐久性を最重視する場合: 土台:メタルコアまたはファイバーコア 被せ物:ゴールドクラウン
経済性を重視する場合: 土台:メタルコア 被せ物:保険のパラジウムクラウン
お悩み別で選ぶ
審美性を最優先したい方 ファイバーコア + オールセラミックの組み合わせが最適です。天然歯と見分けがつかない仕上がりになります。
長持ちを重視したい方 ファイバーコア + ゴールドクラウンまたはジルコニアがお勧めです。特に、ゴールドは20年以上使用できることも珍しくありません。
歯の破折を防ぎたい方 ファイバーコアが最適です。なぜなら、歯に近い弾性があり、歯根破折のリスクを大幅に減少させるからです。
金属アレルギーがある方 ファイバーコア + オールセラミックまたはジルコニアをお選びください。これらは金属を一切使用していません。
費用を抑えたい方 保険適用のメタルコアまたはレジンコア + パラジウムクラウンが選択肢です。ただし、長期的な視点では、自費治療の方が再治療のリスクが低く、結果的に経済的な場合もあります。
歯科医師との相談が重要
最終的には、歯科医師との十分な相談が重要です。なぜなら、以下の要素を総合的に判断する必要があるからです。
まず、残っている歯質の量です。歯質が多く残っている場合と、ほとんど残っていない場合では、適した土台が異なります。
次に、噛み合わせの状態です。強い力がかかる部位では、より強度の高い素材が推奨されます。
さらに、対合歯(噛み合う相手の歯)の状態です。硬すぎる素材を選ぶと、相手の歯を傷つける可能性があります。
また、審美的な要望です。どの程度の審美性を求めるかにより、最適な素材が異なります。
これらを総合的に判断し、患者様一人ひとりに最適な組み合わせを提案いたします。
5. よくあるご質問

Q1. ファイバーコアとメタルコア、どちらが良いですか?
A1. 一般的に、ファイバーコアの方が優れています。なぜなら、歯根破折のリスクが低いからです。また、審美性にも優れています。ただし、費用はメタルコアより高くなります。予算と優先順位により、最適な選択は異なります。詳しくは、歯科医師にご相談ください。
Q2. ゴールドクラウンは見た目が悪いのでは?
A2. 確かに、金色が目立つため、前歯には適しません。ただし、奥歯であれば、口を大きく開けない限りほとんど見えません。また、ゴールドは機能面で非常に優れています。審美性より機能性を重視する場合は、ゴールドクラウンが最適な選択肢です。
Q3. セラミックは割れやすいと聞きましたが?
A3. 確かに、過度な力が加わると割れる可能性があります。ただし、適切な厚みで作製し、正しい噛み合わせ調整を行えば、長期間使用できます。また、最近のジルコニアセラミックは非常に強度が高く、奥歯にも安心して使用できます。歯ぎしりがある方は、マウスピースの併用をお勧めします。
Q4. 保険と自費、どちらを選ぶべきですか?
A4. 予算が許すのであれば、自費治療をお勧めします。なぜなら、耐久性や審美性、歯への優しさなど、あらゆる面で優れているからです。また、長期的には再治療のリスクが低く、結果的に経済的な場合もあります。ただし、最終的には患者様のご希望と予算により決定します。
Q5. 治療期間はどのくらいかかりますか?
A5. 一般的に、2〜4回の通院が必要です。まず、土台を作製・装着します。次に、被せ物の型取りを行います。そして、完成した被せ物を装着します。全体で2〜3週間程度かかることが一般的です。ただし、症例により異なります。
Q6. 被せ物の寿命はどのくらいですか?
A6. 素材や使用状況により異なります。ゴールドクラウンは、20年以上使用できることも珍しくありません。セラミック系も、適切なケアにより10〜15年程度使用できます。ただし、定期的なメンテナンスが重要です。また、歯ぎしりや食いしばりがある方は、寿命が短くなる傾向があります。
6. まとめ
根管治療後の歯は、適切な土台と被せ物で保護することが重要です。選択肢は複数あり、それぞれに特徴があります。
まず、土台では、ファイバーコアが最も優れています。歯根破折のリスクが低く、審美性にも優れています。一方、メタルコアは強度が高く、経済的です。
次に、被せ物では、用途により最適な素材が異なります。前歯では、オールセラミックが最適です。奥歯では、審美性を重視する場合はジルコニア、機能性を重視する場合はゴールドがお勧めです。
また、組み合わせも重要です。審美性を最優先する場合は、ファイバーコア + オールセラミックが最適です。長持ちを重視する場合は、ファイバーコア + ゴールドまたはジルコニアが良いでしょう。
ただし、最適な選択には、専門的な判断が必要です。そのため、歯科医師との十分な相談が不可欠です。
根管治療後の被せ物に関してご不安やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。恵比寿南DENTALでは、豊富な選択肢と確かな技術により、患者様一人ひとりに最適な治療をご提供します。そして、大切な歯を長期間保存するため、全力でサポートいたします。
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