「インプラント治療は痛いの?」「どのくらいの期間がかかるの?」このような不安を抱えている方は少なくありません。インプラント治療は、失った歯を取り戻す優れた方法です。しかし、治療の流れや期間について正確な情報を持っていないと、不安が大きくなってしまいます。
インプラント治療は、手術から完成まで複数の段階を経て進められます。また、各段階で一定の期間が必要です。そのため、全体の流れを理解しておくことが重要です。治療計画を事前に知ることで、仕事や生活の調整もしやすくなります。
本記事では、インプラント治療の全体的な流れを詳しく解説します。さらに、各段階で必要な期間や注意すべきポイントもご紹介します。正しい知識を身につけることで、安心して治療を受けられるようになるでしょう。
目次
- インプラント治療とは?基礎知識を理解しよう
- 治療前の検査と準備
- インプラント手術の流れ
- 治療期間中の生活と注意点
- よくある質問
- まとめ
1. インプラント治療とは?基礎知識を理解しよう

インプラントの構造
インプラント治療は、失った歯を人工的に再現する治療法です。具体的には、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込みます。その上に人工の歯を装着します。
例えば、家を建てることをイメージしてください。まず、地面に基礎工事をします。次に、柱を立てます。そして、屋根を載せます。インプラント治療も同様です。骨に土台(インプラント体)を埋め込み、連結部品(アバットメント)を取り付け、最後に人工の歯(上部構造)を装着します。
他の治療法との違い
歯を失った場合、主に3つの治療法があります。それぞれに特徴があります。
入れ歯 取り外し式の人工歯です。費用は抑えられますが、違和感があることが多いです。また、噛む力も天然歯の30〜40%程度になります。
ブリッジ 失った歯の両隣の健康な歯を削り、橋渡しのように人工歯を固定します。しかし、健康な歯を削る必要があります。また、支えとなる歯に負担がかかります。
インプラント 顎の骨に直接人工歯根を埋め込みます。そのため、周囲の健康な歯に影響を与えません。また、噛む力も天然歯の80〜90%程度まで回復できます。見た目も自然で、違和感もほとんどありません。
ただし、インプラントは外科手術が必要です。また、治療期間も長くなります。さらに、費用も高額になる傾向があります。
インプラント治療の全体像
インプラント治療は、大きく分けて以下の段階で進みます。
まず、カウンセリングと検査です。次に、治療計画の立案です。その後、インプラント手術を行います。そして、治癒期間を経て、最終的な歯を装着します。
全体の期間は、一般的に3ヶ月から10ヶ月程度です。ただし、骨の状態や治療の方法により異なります。では、各段階を詳しく見ていきましょう。
2. 治療前の検査と準備

初回カウンセリング
まず、初回カウンセリングで、患者様のご要望をお聞きします。また、お口の状態を確認します。さらに、治療の概要をご説明します。この段階で、疑問や不安をお気軽にお話しください。
また、全身の健康状態も確認します。なぜなら、糖尿病や骨粗鬆症などの疾患がある場合、治療計画に影響するからです。さらに、服用中の薬がある場合も、必ずお伝えください。
精密検査
次に、精密検査を行います。これには、いくつかの検査が含まれます。
レントゲン撮影 まず、パノラマレントゲンで、お口全体の状態を確認します。これにより、骨の量や質、神経の位置などを把握できます。
CT撮影 さらに、歯科用CTで、顎の骨を3次元的に撮影します。これにより、骨の厚みや高さ、密度を正確に測定できます。例えば、建物を建てる前に地盤調査をするのと同じです。十分な強度があるか確認する必要があります。
口腔内検査 また、虫歯や歯周病の有無もチェックします。なぜなら、これらの問題があると、インプラント治療の成功率が下がるからです。そのため、必要に応じて、事前に治療を行います。
型取り お口の型を取ります。これにより、噛み合わせの状態を分析できます。
治療計画の立案
検査結果をもとに、詳細な治療計画を立てます。この計画には、以下の内容が含まれます。
まず、インプラントを埋め込む位置と角度です。次に、必要なインプラントの本数です。さらに、治療期間の見通しです。また、費用の概算もお伝えします。
この段階で、十分にご理解いただくことが重要です。そのため、わからないことがあれば、遠慮なくご質問ください。納得された上で、治療を開始します。
治療前の準備
インプラント手術の前に、準備が必要な場合があります。
虫歯・歯周病の治療 まず、お口の中を健康な状態にします。なぜなら、細菌感染のリスクを減らすためです。
骨造成が必要な場合 骨の量や質が不十分な場合、骨造成手術を先に行うことがあります。これにより、インプラントを安定して埋め込める環境を整えます。この場合、治療期間が3〜6ヶ月程度延びます。
禁煙のお願い 喫煙は、インプラントの成功率を下げます。そのため、治療期間中は禁煙をお勧めします。
3. インプラント手術の流れ

手術前日の準備
手術前日は、しっかりと睡眠を取りましょう。また、当日は食事制限がある場合もあります。そのため、事前の説明をよく確認してください。
手術当日の流れ
麻酔 まず、局所麻酔を行います。そのため、手術中の痛みはほとんど感じません。また、不安が強い方には、静脈内鎮静法も選択できます。これにより、リラックスした状態で手術を受けられます。
歯肉の切開 次に、歯肉を切開します。そして、顎の骨を露出させます。
ドリリング その後、専用のドリルで、骨に穴を開けます。このとき、神経や血管を傷つけないよう、慎重に進めます。CT画像をもとに、正確な位置と角度で穴を開けます。
インプラント体の埋入 そして、チタン製のインプラント体を、骨に埋め込みます。これが人工歯根となります。
縫合 最後に、歯肉を縫合します。手術時間は、本数により異なりますが、1本あたり30分〜60分程度です。
手術後の過ごし方
手術後は、以下の点に注意してください。
当日の注意点 まず、麻酔が切れるまで、飲食は控えましょう。また、激しい運動や入浴は避けてください。さらに、患部を触らないようにしましょう。
痛みと腫れ 手術後、多少の痛みや腫れが出ることがあります。ただし、これは正常な反応です。痛み止めを処方しますので、適切に服用してください。通常、2〜3日で落ち着きます。
食事 当日は、やわらかい食事をお勧めします。また、熱すぎるものや辛いものは避けましょう。さらに、患部と反対側で噛むようにしてください。
治癒期間(オッセオインテグレーション)
手術後、インプラント体と骨が結合する期間が必要です。これをオッセオインテグレーションと呼びます。
この期間は、一般的に下顎で2〜3ヶ月、上顎で3〜6ヶ月程度です。なぜなら、上顎の骨は下顎より柔らかいため、結合に時間がかかるからです。
この間、インプラント体は骨の中で安静に保たれます。そのため、この期間は仮歯や入れ歯を使用する場合があります。
二次手術(必要な場合)
インプラント体が完全に埋まっている場合、二次手術が必要です。これは、歯肉を少し切開し、アバットメント(連結部品)を取り付ける手術です。
この手術は、比較的簡単です。そのため、15〜30分程度で終わります。また、痛みも少ないことが一般的です。
その後、歯肉が治るまで、1〜2週間待ちます。
型取りと仮歯
歯肉が治ったら、最終的な歯を作るための型取りを行います。この際、噛み合わせや色調も確認します。
型取りから、通常2〜3週間で最終的な歯が完成します。この間、必要に応じて仮歯を装着します。
最終的な歯の装着
完成した人工の歯(上部構造)を装着します。このとき、噛み合わせを細かく調整します。また、見た目も確認します。
装着後、違和感がないか確認してください。もし、気になる点があれば、すぐにお伝えください。微調整を行います。
これで、インプラント治療は完了です。ただし、長期的な成功のためには、定期的なメンテナンスが重要です。
4. 治療期間中の生活と注意点

手術後の日常生活
仕事や学校 手術当日は、できれば休みを取ることをお勧めします。ただし、翌日からは通常通り活動できることが多いです。ただし、激しい運動は1週間程度避けましょう。
喫煙と飲酒 喫煙は、治癒を遅らせます。そのため、少なくとも手術後2週間は禁煙してください。また、飲酒も手術後2〜3日は控えましょう。
運動 激しい運動は、出血や腫れを悪化させる可能性があります。そのため、手術後1週間は控えてください。
食事の工夫
避けるべき食べ物 まず、硬い食べ物は避けましょう。例えば、せんべいやナッツ類などです。また、粘着性の高い食べ物も注意が必要です。さらに、極端に熱いものや冷たいものも控えめにしましょう。
推奨される食べ物 やわらかく、栄養価の高い食べ物をお勧めします。例えば、おかゆ、うどん、豆腐、卵料理、煮魚などです。また、タンパク質やビタミンを十分に摂取しましょう。これにより、治癒が促進されます。
口腔ケアの方法
手術直後 手術後24時間は、患部を直接磨かないでください。ただし、他の部分は通常通り磨きましょう。また、強いうがいは避けてください。
抜糸まで やわらかい歯ブラシを使用し、患部を避けて丁寧に磨きましょう。また、処方されたうがい薬があれば、指示通りに使用してください。
抜糸後 通常の歯磨きに戻れます。ただし、インプラント周囲は特に丁寧にケアしましょう。
定期メンテナンスの重要性
インプラントを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
メンテナンスの内容 まず、インプラント周囲の清掃状態をチェックします。次に、噛み合わせを確認します。さらに、レントゲンで骨の状態を確認します。また、専門的なクリーニングも行います。
メンテナンスの頻度 一般的に、3〜6ヶ月に1回の受診が推奨されます。ただし、お口の状態により異なります。
適切なメンテナンスを続けることで、インプラントを10年、20年と長期間使用できます。実際、10年生存率は90%以上と報告されています。
5. よくある質問

Q1. インプラント手術は痛いですか?
A1. 手術中は局所麻酔を使用します。そのため、痛みはほとんど感じません。また、術後も適切な痛み止めを処方します。多くの方が、「思ったより痛くなかった」とおっしゃいます。ただし、痛みの感じ方には個人差があります。不安が強い方には、静脈内鎮静法も選択できます。
Q2. 治療期間を短縮できますか?
A2. 治療法により、期間を短縮できる場合があります。例えば、即時荷重インプラントという方法では、手術当日に仮歯を装着できます。ただし、これには条件があります。骨の状態が良好であることが必要です。詳しくは、検査後に判断いたします。
Q3. 治療中に見た目が悪くなりませんか?
A3. 前歯など目立つ部分には、治療期間中も仮歯を装着します。そのため、見た目の心配はほとんどありません。また、仮歯も自然な色調で作製します。日常生活で不便を感じることは少ないでしょう。
Q4. 年齢制限はありますか?
A4. 下限については、骨の成長が完了する18歳以上が一般的です。上限については、特に制限はありません。全身の健康状態が良好であれば、高齢の方でも治療可能です。実際、70代、80代の方も多く治療を受けていらっしゃいます。
Q5. 失敗することはありますか?
A5. インプラント治療の成功率は、非常に高いです。一般的に、95%以上と報告されています。ただし、喫煙や糖尿病のコントロール不良、不十分な口腔ケアなどは、失敗のリスクを高めます。そのため、生活習慣の改善と、定期的なメンテナンスが重要です。
Q6. 金属アレルギーでも大丈夫ですか?
A6. インプラント体は、チタンまたはチタン合金で作られています。チタンは、金属アレルギーを起こしにくい素材です。また、医療用としても広く使用されています。ただし、極めて稀にチタンアレルギーの方もいらっしゃいます。心配な場合は、事前にアレルギー検査をお勧めします。
6. まとめ
インプラント治療は、失った歯を取り戻す優れた治療法です。ただし、治療には複数の段階があり、一定の期間が必要です。
まず、カウンセリングと精密検査を行います。次に、治療計画を立案します。その後、インプラント手術を実施します。そして、治癒期間を経て、最終的な歯を装着します。全体で3ヶ月から10ヶ月程度かかるのが一般的です。
また、治療期間中は、いくつかの注意点があります。手術後は安静に過ごし、やわらかい食事を心がけましょう。さらに、禁煙が推奨されます。適切な口腔ケアも重要です。
そして、治療完了後も、定期的なメンテナンスが不可欠です。これにより、インプラントを長期間使用できます。
ただし、治療の流れや期間は、患者様の状態により異なります。そのため、歯科医師との十分な相談が重要です。
インプラント治療に関してご不安やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。恵比寿南DENTALでは、最新の設備と豊富な経験により、患者様一人ひとりに最適な治療をご提供します。そして、快適な口腔環境の回復を全力でサポートいたします。
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