「インビザライン矯正中に、前歯の形が気になって仕方なくなりました。
治療をしたいと思ったのですが、出来ますか?」
このようなご質問をいただくことがございますので、詳しく解説いたします。
〜インビザライン矯正中に歯の治療はできるの?〜
結論から申し上げますと、矯正治療中に歯の治療は基本的には行いません。
ですが、状況によって治療をする場合があります。
・虫歯があり、早急に治療が必要な状況
・歯周病の症状が出て早急に治療が必要な状況
・急激な痛みや腫れなどで早急に治療が必要な状況
上記3つのように、治療が必要な緊急時には矯正治療を中断して歯の治療を行います。
まず初めにインビザライン矯正の仕組みについてご説明いたします。
▲インビザラインの仕組み
お口の中の型取りを、iTeroという光学印象の機械を使用して歯の型取りを行います。
小型のカメラが搭載されている機械でお口の中全体を撮影します。
(印象材を使用した、柔らかいお口いっぱいに広がる材料での型取りではありません。)
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2〜4分ほどで小型カメラでお口の中のお写真を連続して数百枚撮影します。デジタルデータで歯の型が取れている状態になります。(データの歯型は撮影後画面上ですぐ確認できます)
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このデジタルデータの歯型を元に、きれいな歯並びへ整えるシミュレーションデータを作成していきます。
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その作成したデータをインビザラインのマウスピースを製作するセンターに送信して、型取りは完了です。
↓送られてきたデータをもとに、元の歯並びから、完成までの複数枚のマウスピースをセンターで製作します。
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作成完了後、歯科医院へ配送されてきたマウスピースが手元に届きます。
こちらが、インビザラインのマウスピースの型取りからマウスピースが作成されて手元に届くまでの工程です。
歯を移動させるシミュレーションをし、最初に型取りしたデータを元に、歯並びが整い完成するまでのマウスピースを全て作成します。
▲矯正治療中に歯の治療を行わない理由は?
・矯正治療を中断する必要性があるから
矯正治療中、ワイヤー矯正もインビザライン矯正も同じですが、歯の治療を行わない理由は、
歯の治療を行う際に、その歯の形を変えずに治療をするというのは難しい事がほとんどです。虫歯の治療では虫歯のあるところを削りとる処置が必要ですし、歯の根の治療も歯の根の入り口にアプローチする穴を削る必要があります。被せ物や詰め物が入っていた歯を治療するとなると、歯の形が大きく変わりますのでマウスピースを元通りにはめることは難しいため、治療を中断することになります。
・歯の型取りから再度スタートする必要性があるから
インビザラインの場合にはマウスピースが戻らない、治療前と同じ状態で入れられないトラブルが発生します。そうすることで、マウスピースを再度作り直すことになります。
マウスピースは最初から最後の工程まで仕上がって出来上がってきますので、以前に作成したものを使用することは出来ません。ですので、再度型取りからスタートする必要があります。
治療を中断する必要性と、再度歯の型取りからスタートする必要性があるので、治療期間もコストも大きくかかってくるのがデメリットですね。
〜全ての治療が終わってからインビザライン矯正をスタート〜
矯正治療を行うことで、よりお口元の見た目や審美性を極めて美しくしたい!と望まれる患者様も多いです。
特に前歯の歯並びが整ってくると、早く形を整えたい、キレイにしたいとウズウズしてしまうお気持ちはよく理解できます。
ですが、歯の治療をすることでマウスピースを戻せなくなる可能性についてもご理解いただけたと思います。
虫歯や歯周病などの治療はお口の環境を全て整えてから、矯正治療前に治療を終わらせること。
審美的な治療は、歯並びを整えてから矯正治療後に治療を終わらせることをオススメいたします。