「インプラント手術にも種類があるの?」「自分にはどの方法が合っているの?」このような疑問をお持ちの方は少なくありません。インプラント治療には、複数の手術方法があります。それぞれに特徴があり、適した症例も異なります。
インプラント手術の方法は、主に「即時埋入」「1回法」「2回法」の3つに分類されます。また、治療期間や通院回数も方法により異なります。さらに、骨の状態や治療部位によって、最適な方法が変わります。
本記事では、インプラント手術の種類を詳しく解説します。それぞれの特徴、メリット・デメリット、適応症例をご紹介します。正しい知識を身につけることで、ご自身に最適な治療方法を理解できるようになるでしょう。
目次
1. インプラント手術の基礎知識

インプラント治療の構造
3つの部品から成り立っています。まず、顎の骨に埋め込む「インプラント体」です。次に、インプラント体と人工歯を連結する「アバットメント」です。そして、実際に見える部分の「上部構造(人工の歯)」です。
例えば、建物を建てることをイメージしてください。地面に基礎を作り、柱を立て、屋根を載せます。インプラントも同様に、段階的に構築していきます。
手術方法が異なる理由
手術方法が複数ある理由は、患者様の状態が一人ひとり異なるからです。骨の量や質、抜歯のタイミング、治療部位などにより、最適な方法が変わります。
また、治療期間の希望も考慮します。早く治療を終えたい方と、確実性を重視する方では、適した方法が異なります。
手術方法の分類
インプラント手術は、主に以下の3つに分類されます。
2回法 歯肉を2回切開する、最も確実性の高い方法です。従来から使用されている標準的な術式です。
1回法 歯肉の切開を1回で済ませる方法です。2回法より治療期間が短縮できます。
即時埋入 抜歯と同時にインプラントを埋入する方法です。治療期間を大幅に短縮できます。
では、それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
2. 2回法インプラント

まず2回法とは
歯肉の切開を2回行う手術方法です。最も歴史が長く、信頼性の高い術式です。世界中で最も多く行われている方法でもあります。
2回法の流れ
1回目の手術(インプラント体の埋入) まず、歯肉を切開します。そして、顎の骨にドリルで穴を開けます。次に、インプラント体を骨に埋め込みます。その後、インプラント体が完全に骨の中に埋まるように、歯肉を縫合します。
このとき、インプラント体は歯肉の下に完全に隠れます。例えば、土の中に種を埋めて、上から土をかぶせるイメージです。
治癒期間(オッセオインテグレーション) 手術後、インプラント体と骨が結合する期間が必要です。この期間は、下顎で2〜3ヶ月、上顎で3〜6ヶ月程度です。この間、インプラント体は骨の中で安静に保たれます。
2回目の手術(アバットメントの装着) 骨との結合が確認できたら、再び歯肉を切開します。そして、埋まっているインプラント体の頭部を露出させます。次に、アバットメント(連結部品)を取り付けます。
この手術は、1回目より簡単です。通常、15〜30分程度で終わります。
上部構造の装着 歯肉が治癒したら、型取りを行います。そして、人工の歯(上部構造)を作製し、装着します。
2回法のメリット
成功率が高い まず、最大のメリットは成功率の高さです。インプラント体が歯肉下で保護されるため、細菌感染のリスクが低くなります。また、治癒期間中の外力の影響を受けにくいです。
幅広い症例に対応 また、骨の量や質が不十分な症例にも対応できます。骨造成(骨を増やす処置)を同時に行う場合にも適しています。
長期的な安定性 さらに、長年の実績があり、長期的な成功が証明されています。10年生存率は90%以上と報告されています。
2回法のデメリット
手術回数が多い 一方で、歯肉の切開を2回行います。そのため、患者様の負担がやや大きくなります。
治療期間が長い また、全体の治療期間が長くなります。通常、4〜10ヶ月程度かかります。
見た目の問題 さらに、治癒期間中は仮歯を使用できない場合があります。特に、前歯の場合は審美的に問題になることがあります。ただし、入れ歯などで対応できます。
2回法が適している症例
以下のような症例に適しています。
骨の量や質が不十分な場合 骨造成が必要な症例では、2回法が推奨されます。なぜなら、インプラント体が歯肉下で保護されるため、骨の再生を妨げないからです。
確実性を最優先したい場合 治療期間より、成功率を重視する方に適しています。
奥歯の治療 見た目があまり気にならない奥歯では、2回法が選ばれることが多いです。
全身疾患がある場合 糖尿病などの全身疾患がある方は、感染リスクが低い2回法が推奨されます。
3. 1回法インプラント

1回法とは
歯肉の切開を1回で済ませる手術方法です。インプラント体を埋入する際に、アバットメントまたは治癒用のキャップも同時に装着します。そのため、2回目の手術が不要になります。
1回法の流れ
手術(インプラント体とアバットメントの装着) まず、歯肉を切開します。そして、顎の骨にインプラント体を埋め込みます。次に、インプラント体の頭部が歯肉の上に少し出るように調整します。そして、アバットメントまたは治癒用キャップを装着します。
このとき、インプラント体の頭部が歯肉の上に見えます。例えば、土の中に杭を打ち込み、先端が地面から出ているイメージです。
治癒期間 2回法と同様、骨との結合を待ちます。ただし、2回目の手術は不要です。
上部構造の装着 治癒後、型取りを行い、人工の歯を装着します。
1回法のメリット
手術回数が少ない まず、歯肉の切開が1回で済みます。そのため、患者様の負担が軽減されます。
治療期間の短縮 また、2回目の手術とその治癒期間が不要です。そのため、全体の治療期間が短縮されます。
費用の削減 さらに、手術回数が少ない分、費用を抑えられる場合があります。
1回法のデメリット
適応症例が限られる 一方で、骨の量や質が十分な症例に限られます。骨が不足している場合は適用できません。
感染リスクがやや高い また、インプラント体の頭部が露出しています。そのため、2回法と比べて細菌感染のリスクがわずかに高くなります。
初期固定が重要 さらに、手術時にインプラント体がしっかり固定される必要があります。そのため、骨の質が重要です。
1回法が適している症例
以下のような症例に適しています。
骨の状態が良好な場合 十分な骨の量と質がある症例です。
早く治療を終えたい場合 治療期間の短縮を希望される方に適しています。
前歯の治療 審美的な理由から、早く仮歯を装着したい場合に選択されることがあります。
手術の負担を減らしたい場合 高齢の方や、全身状態により手術回数を減らしたい方に適しています。
4. 即時埋入インプラント

即時埋入とは
抜歯と同時にインプラントを埋入する方法です。最も治療期間が短い術式です。ただし、適応症例は限られます。
即時埋入の流れ
抜歯とインプラント埋入 まず、問題のある歯を抜きます。そして、抜歯した穴に、すぐにインプラント体を埋め込みます。
例えば、古い柱を抜いて、すぐに新しい柱を立てるイメージです。タイミングを逃さず、同じ日に処置を完了させます。
仮歯の装着(即時荷重の場合) 条件が整えば、手術当日に仮歯を装着できます。これを「即時荷重」と呼びます。ただし、すべての症例で可能というわけではありません。
治癒期間 骨との結合を待ちます。ただし、抜歯窩(抜歯した穴)の治癒も同時に起こります。
上部構造の装着 治癒後、最終的な人工の歯を装着します。
即時埋入のメリット
治療期間の大幅な短縮 まず、最大のメリットは治療期間の短縮です。抜歯後の治癒を待たずに、インプラント治療を開始できます。通常より2〜3ヶ月程度短縮できます。
手術回数の削減 また、抜歯とインプラント埋入を同時に行います。そのため、手術回数が減ります。
骨の吸収を防ぐ さらに、抜歯後の骨の吸収を最小限に抑えられます。なぜなら、インプラント体が骨を刺激するからです。
審美性の維持 加えて、即時荷重が可能な場合、見た目の問題を最小限にできます。
即時埋入のデメリット
適応症例が非常に限られる 一方で、厳しい条件があります。抜歯部位の骨が十分に残っていること、感染がないこと、初期固定が得られることなどです。
技術的な難易度が高い また、高度な技術と経験が必要です。そのため、すべての歯科医院で対応できるわけではありません。
成功率がやや低い さらに、2回法と比べると、成功率がわずかに低い傾向があります。ただし、適切な症例選択により、高い成功率も報告されています。
即時埋入が適している症例
以下のような厳しい条件を満たす必要があります。
抜歯部位に感染がない 歯周病や根尖病巣(根の先の膿)がない、または軽度である必要があります。
十分な骨が残っている 抜歯後も、インプラントを支えるだけの骨が残っている必要があります。
初期固定が得られる インプラント埋入時に、しっかりと固定できることが必要です。
前歯など審美領域 見た目が重要な部位で、治療期間を短縮したい場合に選択されます。
患者様の協力が得られる 術後の安静や、食事制限などを守れることが重要です。
5. よくあるご質問

Q1. どの方法が最も良いですか?
A1. 「最も良い方法」は、患者様の状態により異なります。骨の状態が良好であれば、1回法や即時埋入も選択肢です。一方、骨造成が必要な場合は、2回法が推奨されます。また、治療期間を優先するか、確実性を優先するかによっても異なります。詳しい検査の後、歯科医師が最適な方法をご提案いたします。
Q2. 即時埋入は誰でもできますか?
A2. いいえ、適応症例は限られます。抜歯部位に感染がないこと、十分な骨が残っていること、初期固定が得られることなど、厳しい条件があります。検査により、適応可否を判断いたします。条件を満たさない場合は、他の方法をご提案します。
Q3. 1回法と2回法で成功率は違いますか?
A3. 適切な症例選択を行えば、成功率に大きな差はありません。2回法の10年生存率は90%以上です。1回法も、骨の状態が良好な症例では、同等の成功率が報告されています。ただし、骨造成を伴う複雑な症例では、2回法の方が確実性が高いとされています。
Q4. 手術当日に歯を入れることはできますか?
A4. 即時埋入で即時荷重が可能な場合、手術当日に仮歯を装着できます。ただし、すべての症例で可能というわけではありません。条件が整わない場合は、入れ歯などで対応します。詳しくは、検査後に判断いたします。
Q5. どの方法が一番痛くないですか?
A5. 痛みの程度は、手術方法よりも個人差が大きいです。どの方法も、麻酔を使用します。そのため、手術中の痛みはほとんどありません。術後の痛みは、通常2〜3日で落ち着きます。2回法は手術が2回ありますが、2回目は簡単なため、痛みは少ない傾向があります。
Q6. 治療期間はどのくらい違いますか?
A6. 2回法は、通常4〜10ヶ月程度です。1回法は、3〜8ヶ月程度で、2回法より1〜2ヶ月短縮できます。即時埋入は、抜歯の治癒期間が不要なため、さらに2〜3ヶ月短縮できます。ただし、骨造成の有無や治癒の状態により、期間は変動します。
6. まとめ
インプラント手術には、主に3つの方法があります。それぞれに特徴があり、適した症例も異なります。
2回法は、最も確実性の高い方法です。歯肉の切開を2回行いますが、成功率が高く、幅広い症例に対応できます。骨造成が必要な場合や、確実性を重視する場合に推奨されます。
1回法は、手術回数を減らせる方法です。歯肉の切開が1回で済み、治療期間も短縮できます。骨の状態が良好で、早く治療を終えたい方に適しています。
即時埋入は、治療期間を最も短縮できる方法です。抜歯と同時にインプラントを埋入します。ただし、適応症例は限られ、厳しい条件を満たす必要があります。
どの方法を選ぶかは、骨の状態、治療部位、希望する治療期間などにより決まります。最終的には、精密な検査の後、歯科医師が最適な方法を提案します。
インプラント手術に関してご不安やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。恵比寿南DENTALでは、豊富な経験と最新の技術により、患者様一人ひとりに最適な術式をご提供します。そして、快適な口腔環境の回復を全力でサポートいたします。
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