「目立たない矯正がしたい」「仕事中も装置が気にならない方法はないの?」このような希望をお持ちの方は少なくありません。インビザラインは、透明なマウスピースを使った矯正治療です。しかし、すべての歯並びに適応できるわけではありません。
マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて目立ちにくく、取り外しもできます。そのため、社会人や接客業の方にも人気です。ただし、治療できる症例には限界があります。また、従来の矯正との違いを理解することも重要です。
本記事では、インビザライン矯正で治療できる歯並びを詳しく解説します。さらに、従来のワイヤー矯正との違いもご紹介します。正しい知識を身につけることで、ご自身に最適な矯正方法を選択できるようになるでしょう。
目次
- インビザライン矯正とは?基礎知識を理解しよう
- インビザラインで治療できる歯並び
- 従来のワイヤー矯正との違い
- 治療の流れと注意点
- よくあるご質問
- まとめ
1.インビザライン矯正とは?基礎知識を理解しよう

インビザラインの仕組み
インビザライン矯正は、透明なマウスピース(アライナー)を使用した矯正治療です。まず、患者様専用のマウスピースを複数枚作製します。そして、約1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。
例えば、階段を一段ずつ上がることをイメージしてください。一度に頂上に到達することはできません。しかし、一段ずつ確実に上がっていけば、必ず目標に到達できます。インビザラインも同様です。各マウスピースで少しずつ歯を動かし、最終的に理想の歯並びを実現します。
マウスピース矯正の歴史
マウスピース矯正の技術は、1990年代後半から発展してきました。特に、インビザラインは1999年にアメリカで誕生しました。そして、2006年に日本でも導入されました。現在では、世界中で1400万人以上が治療を受けています。
また、近年の3Dスキャン技術やAIの発達により、治療精度が大幅に向上しています。そのため、従来は難しかった症例にも対応できるようになりました。
インビザラインの特徴
目立たない まず、透明な素材のため、装着していてもほとんど目立ちません。そのため、人と話すときも気になりません。
取り外し可能 また、食事や歯磨きのときは取り外せます。そのため、普段通りの食生活を楽しめます。さらに、口腔ケアもしやすくなります。
痛みが少ない さらに、ワイヤー矯正と比べて、痛みや違和感が少ない傾向があります。なぜなら、少しずつ歯を動かすからです。
通院回数が少ない 加えて、通院は通常1〜2ヶ月に1回程度です。そのため、忙しい方でも続けやすいです。
金属アレルギーの心配がない また、金属を使用していません。そのため、金属アレルギーの方でも安心です。
2.インビザラインで治療できる歯並び

インビザライン矯正は、多くの歯並びの問題に対応できます。ただし、症例により適応の可否が異なります。
適応できる主な症例
叢生(そうせい)・八重歯 叢生とは、歯が重なり合って生えている状態です。いわゆる「ガタガタの歯並び」です。また、八重歯も叢生の一種です。
軽度から中等度の叢生であれば、インビザラインで治療可能です。ただし、重度の場合は、抜歯が必要になることもあります。また、補助装置を併用する場合もあります。
すきっ歯(空隙歯列) 歯と歯の間に隙間がある状態です。前歯の真ん中に隙間がある場合を、特に正中離開と呼びます。
すきっ歯は、インビザラインの得意分野です。なぜなら、歯を寄せる動きが比較的容易だからです。そのため、良好な結果が期待できます。
出っ歯(上顎前突) 上の前歯が前に出ている状態です。一般的に「出っ歯」と呼ばれます。
軽度から中等度の出っ歯は、インビザラインで治療できます。ただし、骨格的な問題が大きい場合は、ワイヤー矯正が推奨されることもあります。また、場合によっては抜歯が必要です。
受け口(下顎前突・反対咬合) 下の歯が上の歯より前に出ている状態です。いわゆる「受け口」です。
軽度の受け口であれば、インビザラインで改善できる可能性があります。ただし、骨格的な問題が大きい場合は、外科矯正が必要になることもあります。そのため、精密な検査と診断が重要です。
開咬(かいこう) 奥歯で噛んでも、前歯が噛み合わない状態です。前歯の間に隙間ができます。
開咬は、マウスピース矯正の得意分野の一つです。なぜなら、マウスピースが奥歯を押さえる効果があるからです。そのため、比較的良好な結果が得られます。
過蓋咬合(かがいこうごう) 噛んだとき、上の歯が下の歯を深く覆う状態です。いわゆる「噛み合わせが深い」状態です。
軽度から中等度の過蓋咬合は、インビザラインで治療可能です。ただし、重度の場合は、他の方法が推奨されることもあります。
治療が難しい症例
一方で、以下のような症例は、インビザラインでの治療が難しい場合があります。
重度の骨格的な問題 顎の骨自体の大きさや位置に大きな問題がある場合です。このような場合は、外科矯正が必要になることがあります。
重度の叢生 歯の重なりが非常に激しい場合です。このような場合は、ワイヤー矯正の方が効果的なことがあります。
歯の大幅な移動が必要な症例 歯を大きく回転させたり、根を大きく動かしたりする必要がある場合です。このような場合は、ワイヤー矯正が推奨されることがあります。
患者様の協力が得られない場合 インビザラインは、1日20〜22時間の装着が必要です。そのため、これを守れない場合は、効果が得られません。
ただし、技術の進歩により、従来は難しかった症例にも対応できるようになっています。そのため、まずは歯科医師に相談することをお勧めします。
3.従来のワイヤー矯正との違い

インビザラインと従来のワイヤー矯正を、様々な観点から比較します。
見た目の違い
インビザライン 透明なマウスピースのため、ほとんど目立ちません。そのため、矯正していることに気づかれにくいです。接客業や営業職の方にも人気があります。
ワイヤー矯正 金属のブラケットとワイヤーが目立ちます。ただし、最近では白いブラケットや透明なブラケットもあります。また、歯の裏側に装置をつける方法もあります。
取り外しの可否
インビザライン 食事や歯磨きのときは取り外せます。そのため、普段通りの食生活が可能です。また、口腔ケアもしやすくなります。
ワイヤー矯正 装置は固定式のため、取り外せません。そのため、食べ物が挟まりやすくなります。また、歯磨きに工夫が必要です。
痛みと違和感
インビザライン 比較的痛みが少ない傾向があります。また、マウスピース交換直後は締め付け感がありますが、数日で慣れます。さらに、口内炎ができにくいです。
ワイヤー矯正 調整直後は、強い痛みを感じることがあります。また、装置が頬や唇に当たり、口内炎ができやすいです。ただし、痛みの感じ方には個人差があります。
通院頻度
インビザライン 通常、1〜2ヶ月に1回の通院です。そのため、忙しい方でも続けやすいです。また、遠方から通院される方にも便利です。
ワイヤー矯正 通常、月に1回の通院が必要です。また、装置が外れたりワイヤーが刺さったりした場合は、緊急の通院が必要になることもあります。
食事の制限
インビザライン 食事中は取り外すため、制限はありません。ただし、装着中の飲食は避けましょう。特に、砂糖を含む飲み物は虫歯のリスクを高めます。
ワイヤー矯正 硬い食べ物や粘着性の高い食べ物は避ける必要があります。例えば、せんべい、キャラメル、ガムなどです。なぜなら、装置が外れる可能性があるからです。
適応症例の範囲
インビザライン 軽度から中等度の症例に適しています。ただし、重度の症例や複雑な症例には、適さない場合があります。
ワイヤー矯正 ほぼすべての症例に対応できます。特に、重度の症例や複雑な歯の移動が必要な場合は、ワイヤー矯正が推奨されます。
治療期間
インビザライン 症例により異なりますが、一般的に1年〜2年半程度です。軽度の症例では、数ヶ月で終わることもあります。
ワイヤー矯正 一般的に1年半〜3年程度です。ただし、症例の複雑さにより大きく異なります。
費用の比較
インビザライン 一般的に、ワイヤー矯正と同程度か、やや高額になる傾向があります。ただし、症例により異なります。
ワイヤー矯正 装置の種類により費用が異なります。一般的な金属のブラケットが最も経済的です。一方、審美ブラケットや裏側矯正は高額になります。
4.治療の流れと注意点

インビザライン治療の流れ
カウンセリング まず、患者様のご希望をお聞きします。また、お口の状態を確認します。そして、インビザラインの概要をご説明します。
精密検査 次に、口腔内のスキャンやレントゲン撮影を行います。また、写真撮影や噛み合わせの検査も実施します。
治療計画の作成 検査結果をもとに、3Dシミュレーションを作成します。これにより、治療後の歯並びを事前に確認できます。また、治療期間や必要なマウスピースの枚数も提示します。
マウスピースの作製 治療計画に同意いただいたら、マウスピースを作製します。通常、数週間で完成します。
治療開始 マウスピースの装着方法や取り扱いについてご説明します。そして、治療を開始します。約1〜2週間ごとに、新しいマウスピースに交換していきます。
定期チェック 1〜2ヶ月に1回、通院していただきます。このとき、治療の進行状況を確認します。また、必要に応じて調整を行います。
保定期間 歯並びが整ったら、保定装置を使用します。これにより、後戻りを防ぎます。保定期間は、通常1〜2年程度です。
治療を成功させるポイント
装着時間を守る 最も重要なのは、装着時間を守ることです。1日20〜22時間の装着が推奨されます。食事と歯磨き以外は、常に装着しましょう。
マウスピースの管理 マウスピースは、専用のケースで保管しましょう。また、熱湯や熱い飲み物は避けてください。変形の原因になります。
口腔ケアの徹底 食後は必ず歯磨きをしてから、マウスピースを装着しましょう。なぜなら、虫歯のリスクが高まるからです。また、マウスピース自体も毎日洗浄しましょう。
紛失に注意 マウスピースを外したら、必ずケースに入れましょう。ティッシュに包んで捨ててしまうケースが多いです。また、紛失した場合は、すぐに歯科医院に連絡してください。
定期的な通院 指定された日に必ず通院しましょう。なぜなら、治療の進行状況を確認する必要があるからです。
5.よくあるご質問

Q1. インビザラインは本当に目立ちませんか?
A1. はい、非常に目立ちにくいです。透明な素材のため、至近距離でも気づかれにくいです。多くの患者様が、「周りの人に矯正していることを気づかれなかった」とおっしゃいます。ただし、光の当たり方により、わずかに反射することがあります。
Q2. 痛みはありますか?
A2. マウスピース交換直後は、締め付け感や違和感があります。ただし、ワイヤー矯正と比べて痛みは少ない傾向があります。また、数日で慣れることが一般的です。痛み止めが必要になることは、ほとんどありません。
Q3. 話しにくくなりませんか?
A3. 装着直後は、わずかに発音しにくく感じることがあります。特に、サ行やタ行が発音しにくいと感じる方もいらっしゃいます。ただし、数日から1週間程度で慣れることが一般的です。多くの方が、「すぐに気にならなくなった」とおっしゃいます。
Q4. 食事のたびに外すのは面倒ではありませんか?
A4. 確かに、食事のたびに外す必要があります。ただし、取り外しは簡単で、慣れれば数秒で完了します。また、食事制限がないというメリットの方が大きいと感じる方が多いです。好きなものを自由に食べられることは、大きな利点です。
Q5. どんな人に向いていますか?
A5. 以下のような方に特に向いています。まず、目立たない矯正を希望される方です。次に、接客業や営業職など、見た目が重要な職業の方です。また、金属アレルギーの方にも適しています。さらに、自己管理ができる方に向いています。なぜなら、装着時間を自分で守る必要があるからです。
Q6. 治療できないケースはありますか?
A6. はい、一部のケースでは治療が難しい場合があります。重度の骨格的な問題がある場合や、歯を大幅に動かす必要がある場合です。また、装着時間を守れない方にも適しません。ただし、まずは検査を受けて、適応可否を判断することをお勧めします。近年の技術進歩により、従来は難しかった症例にも対応できるようになっています。
6.まとめ
インビザライン矯正は、透明なマウスピースを使用した目立たない矯正治療です。軽度から中等度の様々な歯並びに対応できます。
まず、叢生(ガタガタの歯並び)や八重歯に適応できます。次に、すきっ歯の治療も得意分野です。また、軽度から中等度の出っ歯や受け口にも対応できます。さらに、開咬や過蓋咬合の治療も可能です。
従来のワイヤー矯正と比べて、いくつかの利点があります。まず、目立ちにくいです。また、取り外しができるため、食事や歯磨きが楽です。さらに、痛みが少なく、通院回数も少ない傾向があります。
ただし、すべての症例に適応できるわけではありません。重度の骨格的な問題や複雑な歯の移動が必要な場合は、ワイヤー矯正が推奨されることもあります。また、1日20〜22時間の装着が必要なため、自己管理が重要です。
最終的には、歯科医師との十分な相談が重要です。精密な検査により、適応可否を判断します。
インビザライン矯正に関してご不安やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。恵比寿南DENTALでは、最新の3Dスキャン技術と豊富な経験により、患者様一人ひとりに最適な矯正治療をご提供します。そして、美しく健康的な歯並びを実現するため、全力でサポートいたします。
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