天然歯のような噛み心地と見た目を再現できる治療法「インプラント」。
しかし「インプラントは何年くらいもつの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、どれだけ高品質なものを使用しても、ケアを怠れば寿命は短くなってしまいます。逆に、正しいケアを継続すれば、長期間にわたって快適に使用することが可能です。
本記事では、インプラントの寿命、長持ちさせるための秘訣を詳しく解説します。これからインプラントを考えている方や、すでに治療を受けた方もぜひ参考にしてください。
目次
・インプラントの基礎知識
・平均的な寿命
・インプラント周囲炎とは
・長持ちさせるための秘訣
・よくある質問(Q&A)
・まとめ
1. インプラントの基礎知識

1.インプラントとは
失った歯の代わりに人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。自然な歯に近い見た目と、天然歯のような噛み心地が特徴です。また、インプラントは主にチタンという生体適合性の高い金属で作られています。これにより、体内での拒絶反応を最小限に抑えつつ、顎の骨としっかり結合します。その結果、強い耐久性と安定した噛み合わせが実現します。さらに、インプラントを埋め込むことで、歯を失った部分の骨が痩せるのを防ぐ効果もあります。
2.インプラントの構造
大きく分けて3つの部分から成り立っています。
・インプラント体:人工の歯根部分で、顎の骨に埋め込まれるチタン製の部分。これがしっかりと骨に結合することで、安定した支えとなります。
・アバットメント:インプラント体と人工歯をつなぐ橋渡し部分です。アバットメントにはさまざまな形状があり、インプラントの状態や患者様の歯並びに合わせて選びます。
・人工歯(クラウン):インプラント体の上に取り付ける人工の歯で、見た目と機能を天然の歯に近づけます。人工歯は、素材や形状を調整できるため、患者様の希望に合わせて最適なものを作ることができます。
2. 平均的な寿命

1.一般的な耐用年数
インプラントの寿命は一般的に10〜15年が目安とされています。しかし、適切なケアと良好な生活習慣により、20年以上使用できるケースも少なくありません。実際に、インプラントの10年生存率は約90〜95%とされており、正しいメンテナンスを続けることで長期間にわたって使用が可能です。ただし、患者様の口腔環境やケアの状態によって大きく変わるため、個人差があります。
2.他の治療法との比較
インプラントは、入れ歯やブリッジに比べて耐用年数が長い傾向にあります。入れ歯は通常5〜10年程度で作り直しや調整が必要になります。また、ブリッジは10〜15年ほど使用できますが、周囲の健康な歯に負担がかかることがあります。
3.インプラントの寿命に影響を与える要因
主に、次の4つが挙げられます。
・口腔ケアの質:歯茎に汚れが溜まると、炎症を引き起こし、インプラントに悪影響を与えることがあります。そのため、常に清潔に保つことが大切です。
・喫煙:喫煙は、治癒過程に悪影響を与え、骨とインプラントの結合を妨げることがあります。喫煙による血流の悪化がインプラントの定着を遅らせるため、治療後は禁煙をすることが望ましいです。
・全身疾患:糖尿病や高血圧、骨粗鬆症など、全身疾患がある場合、インプラントが骨と結びつく過程に影響を与えることがあります。そのため、治療前に歯科医師としっかりと相談し、病気の管理を行いましょう。
・噛み合わせ:噛み合わせの問題があると、インプラントに過度な力がかかります。また、歯ぎしりや食いしばりも大きな負担をかけるため、治療に影響を与える場合があります。
3. インプラント周囲炎とは

インプラントを長期間使用するには適切なケアが不可欠ですが、特に注意したいのが「インプラント周囲炎」です。これはインプラントの寿命に大きな影響を与える代表的なトラブルで、放置するとせっかく埋め込んだインプラントが脱落してしまうこともあります。
1.インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎は、インプラントの周囲の歯茎や骨に炎症が生じる状態です。この炎症は、主に口腔ケアが不十分であることや、細菌感染が原因となります。細菌が付着し、歯垢や歯石を形成することで、歯茎に炎症を引き起こします。これが進行すると、インプラントがぐらついたり、最終的には脱落することもあります。
2.インプラント周囲炎の症状
これらの症状に気づいた場合は、できるだけ早く歯科医院での診察を受けることをおすすめします。
・歯茎の腫れ:歯茎が赤く腫れることがあります。腫れがひどくなると、歯茎が膨らんで痛みを感じることがあります。
・歯茎からの出血:歯磨きや食事の際に歯茎から出血することがあります。特に歯茎が炎症を起こしていると、軽い刺激でも出血しやすくなります。
・口臭:炎症が進行すると、口の中に不快な臭いが発生することがあります。
・痛みや不快感:歯茎の痛みや不快感が感じられることがあります。痛みは軽いものから強いものまであり、食事や会話時に感じることがあります。
・ぐらつき:炎症が進行すると、インプラントがぐらついたり動いたりすることがあります。インプラントが安定しなくなると、噛んだときに違和感を感じることがあります。
・歯茎の退縮:炎症が慢性化すると、歯茎が後退していきます。歯茎が下がるとインプラントが露出し、審美的にも問題が生じます。
4.長持ちさせるための秘訣

インプラントを長期間使うためには、日常的なケアと生活習慣の見直しが欠かせません。そこで、次3つのポイントを実践することで、インプラントの寿命を最大限に延ばすことができます。
1. 毎日のセルフケア
インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアが最も重要です。天然の歯と同様に、毎日歯磨きで汚れを取り除くことが求められます。ただし、インプラント周辺の歯茎は特に汚れが溜まりやすいため、普通のブラシに加えて、歯間ブラシやフロスを使って隅々までしっかりと掃除をしましょう。また、食後や寝る前には念入りにブラッシングを行い、口内を清潔に保つことが大切です。さらに、歯磨きだけでなく、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルケアも取り入れ、清潔に保ちましょう。
2. 定期的な歯科健診
インプラントは、普段のセルフケアでは見逃しがちな問題が起こることがあります。定期的な歯科健診を受けることで、問題を早期に発見し、対処することが可能です。さらに、歯科医院でのクリーニングを受けることで、口腔内の衛生状態をより良く保つことができます。健診を受けるたびにインプラントの状態や噛み合わせのチェックも行い、必要な調整を加えることで、長期間にわたりインプラントを使用できます。
3. 生活習慣の改善
喫煙は治療に悪影響を与えるため、禁煙が強く推奨されます。喫煙により血流が悪化し、インプラントが骨としっかり結びつくのを妨げる原因となります。禁煙をすることで、定着がスムーズに進み、歯茎の健康も守られます。また、バランスの取れた食生活を心がけましょう。カルシウムやビタミンDなど、骨の健康に必要な栄養素をしっかり摂取することが大切です。さらに、適度な運動や体重管理も重要です。これらは全身の健康をサポートし、インプラントの安定した使用に繋がります。糖尿病や高血圧がある場合は、治療をしっかり行い、管理することが長期的な成功のカギとなります。
5. よくある質問(Q&A)

Q1. 歯ぎしりがひどいのですが、治療はできますか?
可能です。しかし、歯ぎしりによる強い圧力が治療部分にかかると、問題が生じる可能性があります。マウスガードの使用や噛み合わせの調整を行うことで、その影響を軽減し、治療をスムーズに進めることができます。定期的に歯科医院でのチェックを受け、状態を確認することが重要です。
Q2. 歯科健診は何ヶ月後ごとに受けるべきですか?
約3ヶ月に1回の定期検診を続けることで、お口の健康を維持し、早期に問題を発見することができます。特に治療を受けた後や状態に不安がある場合は、少し短めの間隔で受診することをおすすめします。患者様の口腔状態や生活習慣に応じて、歯科医師の指示に従うことが大切です。
Q3. インプラント治療後、食べ物に制限はありますか?
治療直後は、硬い食べ物や粘り気のある食べ物を避けることをお勧めします。しかし、数週間以内に通常の食生活に戻すことができます。回復の進行具合に合わせて、少しずつ食べ物を元に戻していくと良いでしょう。
6. まとめ
インプラントの寿命は一般的に10〜15年と言われています。しかし、適切なケアと生活習慣の改善で20年、またはそれ以上使えることもあります。そのためには、日々の丁寧なケアと定期的な歯科健診が欠かせません。特に、歯磨きに加えて歯間ブラシやフロスで隅々まで清潔に保つことが重要です。また、喫煙を控え、バランスの取れた食生活を心がけることで、お口の健康を守ることができます。こうした日々の小さな努力が、インプラントの寿命を大きく延ばします。自分の歯のように大切にケアし、インプラントを長持ちさせましょう!
恵比寿駅から徒歩3分の恵比寿南DENTALでは世界基準の安心安全なインプラント治療を行っています。従来のレントゲンでは分かりにくかった骨の状態や神経・血管の走行を、CT撮影による3D画像で詳細に把握。最適なインプラントの種類や埋入位置をシミュレーションします。また、治療後のフォローアップも丁寧に行い、患者様が長期間安心して使用できるようサポートしています。歯の欠損でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください!
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